雪冬山雞│雪冬山鶏

難易度: 調理時間:1時間以内
安徽料理が続きます。これまた素敵な名前の『雪冬山雞│雪冬山鶏』のレシピを紹介します。地鶏とタケノコを醤油ベースのソースで煮込んだ料理で、日本でも簡単に再現できます。おかずにピッタリです。

当ブログでも安徽料理はあまり扱わないので、今回は安徽料理とは何かについて前の記事より一歩踏み込んで解説してみたいと思います。

古くは徽州と呼ばれた安徽省の中心は現在の歙縣徽城鎮、古くは新安と呼ばれた場所にあります。秦の始皇帝の時代に郡県がおかれて以来開かれた場所とされ、2000年以上の歴史がある古都です。この安徽省の中心部は歴史的にかなり複雑に名前と所属が変わっており、相当の地理マニアでもない限り時代と地名を一致させるのは至難の技です。何せ王朝や皇帝によって「歙州」や「徽州」を指す場所が入れ替わったり、移転させられたり、別の省に属したりと、それはめまぐるしく変わりまくります。このため安徽料理の正統な流れはここ数十年の研究でやっと明らかになりました。

もともと安徽料理の源流は黄山のふもと、最も古い時代に徽州と呼ばれた現在の歙縣にあります。この地域は唐代より良質の茶葉の産出として有名で、この茶葉を求めて集まった多くの商人たちによって発展しました。最初期には山に茶畑を開いていく過程で得た山野の珍味をどのように調理するかというのが安徽料理の命題とされ、現代にも多くの珍しい食材(ハクビシンやスッポン)を使った料理が伝えられています。また安徽省は良質の墨と硯の産地として古くから知られています。(いまでも墨と硯の超高級ブランド産地で徽墨や歙硯などと呼ばれます。)宋代は茶葉と墨硯の交易により大きく栄えます。

時は流れ、安徽料理は歙縣から茶葉と硯を運ぶ運河に沿って伝播、発達していきました。 南宋時代にはすでに一大料理体系として全国で名を馳せるようになっており、明清代に更に大きな発展を遂げました。歴史の流れから分かるように、安徽料理を主導してきたのはこの地に集った商人たちで、その進化は「商談時に相手をもてなし、驚かせるための趣向」に収斂されていきます。

たかだか商人の料理と侮ってはいけません。安徽省出身の商人らの「幫」は明清代、全中華圏でだんとつトップの巨大結社だったのですから。現代の我々が安徽料理を見たときに感じる"ちょっとした驚き"、"ものめずらしさ"や"なんだか得した感じ"はなるほど商談にはピッタリかもしれません。重めの味付けの料理が多いのも、商談の時の味を忘れられないようにする工夫でしょう。ただ…この安徽出身の商人らの「幫」はいまでは見る影もなく落ちぶれてしまいました。この辺も八大菜系にありながら安徽料理がほとんど知られない要因の一つでしょうか。料理に歴史ありですね。

いまでこそ八大菜系では福建、四川、広東料理が有名ですが、清末くらいまでは中華料理といえば安徽料理という時代がたしかにあったのです。この辺のうんちくも安徽料理を食べるときに思い出してみてくださいね。



[材料]
地鶏 ……… 1000g
タケノコ ……… 200g
豚ばら肉 ……… 50g
 (脂身が多い方が良い)
カラシナ ……… 100g
 (その他の野菜で代用しても良い)
ネギ ……… 15g
ショウガ ……… 10g
ラード ……… 50g
水 ……… 適量


[調味料]
塩 ……… 小さじ1/3
醤油 ……… 大さじ3
砂糖 ……… 大さじ1/2
酒 ……… 大さじ1
水溶き片栗粉 ……… 小さじ1

[作り方]
1.タケノコの下ごしらえをし、3×6cmほどの大きさで可能な限りの薄切りにする。豚バラ肉は千切りにする。カラシナを幅1cmほどの千切りにする。ネギの1/3量をみじん切りに、残り2/3をぶつ切りにする。ショウガを包丁の腹で叩いてつぶしておく。

2.熱した鍋に40gのラードを入れて溶かし、地鶏と豚ばら肉を入れて表面の色が変わるまで炒める。続いて醤油、酒、段切りにしたネギ、ショウガ、平らにならした肉が浸かるくらいの水を入れて沸騰させる。沸騰したら弱火にし、水量が7割ほどになるまで蓋をせず煮込む。

3.作り方2のフライパンにタケノコ、カラシナ、塩、砂糖を加え野菜に火が通るまでかき混ぜながら強火で炒める。 そのまま水量が元の半分になるまで(→Point参照)炒めたら水溶き片栗粉を加えてとろみを付け(→Point参照)、さらに残り10gのラードとネギを振りかけて完成。

制作要诀:此菜先炒后烧,加水量与鸡块齐平,基本收干汤汁,勾薄芡上桌。

Point!
水量が半分と書いていますが、水面が元の半分の高さになるまでの意味です。具もあり、沸騰もしているので実際にはそれ以下の量に減ります。

ラードとネギは器に盛りつけた後に振りかけてもOK。さらに美しく盛り付けるなら、器の底にネギを、その上に肉類を乗せてから鍋に残ったソースをかけ、ラードとネギを乗せると良いでしょう。





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