檸檬愛玉冰│レモン愛玉ゼリー

難易度:☆☆☆(作るだけなら☆) 調理時間:1時間以内

本日は夏を先取りした台湾のデザート『檸檬愛玉冰│レモン愛玉ゼリー』のレシピを紹介します。台湾の夜市やデザート店では定番メニューの一つなので、食べたことがある旅行者の方も多いことでしょう。

愛玉は台湾語で「オーギョー」のように発音します。台湾固有の植物でイチジクの仲間です。発見は日本を代表する植物学者である牧野富太郎博士。日本統治時代に行われた第一次植生調査時(1904)に発見され新種として認められました。台湾では古くから食用とされていたようで、その種子を愛玉子(オーギョーチ)と呼んでいました。この現地名をそのまま使って、牧野博士により学名を Ficus awkeotsang Makino と名づけられました。属名は「オーギョーチ」をそのままラテン語で表記したものです。現在は学名が変わり Ficus pumila L. var. awkeotsang (Makino) Corner と呼ばれます。

「台湾通史」という書物に愛玉の名前の由来があるので抜き出してみましょう。

愛玉子:於嘉義山中。舊志未記載其名,道光初,有同安人某居於郡治之媽祖樓街往來嘉義,採辦土宜。一日,過後大埔,天熱甚,溪飲,見水面成凍,掬而飲之,涼沁心脾,自念此間暑,何得有冰?細視水上,樹子錯落,揉之有漿,以為此物化也。拾而歸家,以水洗之,,頃刻成凍,和以糖,風味殊佳,或合以兒茶少許,則色如瑪瑙。某有女曰愛玉,年15,楚楚可人,長日無事,出凍以賣,飲者甘之,遂呼為愛玉凍。自是傳遍市上,採者日多,配售閩、。按愛玉子,即薜荔,性清涼,可解暑。

道光初年といえば1821年ですので、200年近い歴史があるデザートというわけです。発見者も娘の名前を偶然見つけた植物につけるとは…なかなか面白い逸話ですね。

台湾ではこのレシピのようにレモン汁とあわせるだけでなく、ドリンクステーションのジュースに混ぜたり、カキ氷や豆花の具としても使います。

が、そういう軽食店で使われる弾力のある「愛玉」はゼラチンで作られていたりします(笑)。

この愛玉の種子(愛玉子や愛玉籽と呼びます)表面には植物中でも一二を争うほどの大量のペクチンが含まれます。愛玉子を水の中でもむと種子表面のペクチンが溶け出し、これによって水がゼリー状に固まるのです。寒天やゼラチンのように加熱せずにゼリーを作れる珍しい原料で、アイディア次第では色々なデザートに応用が出来そうです。残念ながらペクチンは油で凝固が阻害されるので、牛乳やチョコレートを固めることは出来ませんが、無脂肪牛乳や砂糖水なら固めることが出来ます。理系魂をくすぐられる料理ですね。色々と実験しながらお試しください。

日本では愛玉子は売られていないと思うので、もし試してみたい方がいらっしゃれば台湾から送ります。加熱しないで作れるので小さな子どもでも作れ、何より作るのが楽しく簡単です。ぜひ手の中で水が固まり始めるという不思議な感触をお楽しみください。


[材料]
愛玉子 ……… 40g
水 ……… 1300g
シロップ ……… 適量
氷 ……… 適量
レモン ……… 適量
レモン汁 ……… 適量

[調味料]
砂糖 ……… 適量

[作り方]
1.愛玉子を綿の袋などに入れ、軽く水に晒して湿らせておく。

2.ボウルに水と愛玉子のパックをいれ、手でゆっくりと愛玉子のパックを揉む。10分ほどすると水が凝固し始めるので、適当なところで型などに流しいれて固まらせる。

3.固まった愛玉ぜりーを食べやすい大きさに切り、シロップ、氷、薄切りにしたレモン、レモン汁などをかけて完成。

Point!
愛玉にはまったく味が付いていません。どちらかといえばうっすらと苦味があるくらいです。酸味のあるジュースやレモン汁と合わせましょう。

揉み出した愛玉子は取り出してゴミ箱に捨ててください。流しに捨てると確実に詰まりますので気をつけましょう。もし流してしまったら大さじ一杯の油を排水溝に垂らしておきましょう。

レモン汁が定番ですが、大体の果汁100%ジュースは何でも合わせられます。酸味の強いパイナップルやグレープフルーツジュースがおすすめです。


5 コメント :

Dee さんのコメント...

愛玉子のタネを手に入れたのですが、どうもうまく固まらず困り果てているところでこのブログにたどり着きました。よろしければコツなどを教えてください。
硬水でないと固まらないとのことなのでコントレックスを使っています。
もみ始めて3分ほどで色とトロみが出て、6分ほどで一部固まったジュレ状になっています。手に入れた説明書によると10-15分ほど揉めとのことのなのですが、その後どれだけもみ続けても全体が固まりません。ジュレ状に固まった部分とかたまらない部分とに分かれたままです。これはどうやったら固まるのでしょうか?

Higene さんのコメント...

>>Deeさま

1.一般的には愛玉子を水に浸けてしばらく放置し、水を吸わせる。
2.10分ほど水中で揉む。
3.愛玉子を取り出し、10分ほど放置する。

上のようにすれば、全体がゼリー状に固まるはずです。
揉んでも固まらないから、揉み続けるのではなく、揉んで粘りが出てきたら、一度10分ほど放置してみてください。

Higene

Dee さんのコメント...

丁寧なご教授ありがとうございます。
先に吸水させなければいけないのですね。さっそくやってみます。
重ね重ねありがとうございました。

匿名 さんのコメント...

今晩は。はじめまして。愛玉子は台湾のどちらの産地でしょうか。良ければ教えて下さい。

Higene さんのコメント...

>>匿名様
愛玉子は台湾北部の山地に自生しています。
私の知るところでは「烏来温泉」の山間部や陽明山に自生していました。現地に住む人が採集、販売して生計を立てています。イチジクの仲間なので、多少知識があれば葉っぱで見つけられるのですが、地域によっては国立公園だったりするので自分で取るのはお勧めしません。
入手したいなら漢方薬屋や乾物屋で買えます。

Higene

 
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