観光情報:基隆市


基隆市は台湾最大(貨物取扱量は全台湾二位)の港『基隆港』を擁し、古くから台北の喉といわれ海上防衛・輸送の拠点として発達してきました。今でも当時を偲ばせる多くの砲台が海岸沿い至る所に残されています。市街地にある多くの古跡・名刹は、市民たちの信仰を集め、周辺に賑やかな市場を形成しています。特に毎年農暦七月には全台湾最大の『中元(盂蘭盆)』の祭典が開催され、全国から多くの人が集まります。昼間から賑やかな夜市場『廟口夜市』や、美しい海岸線など、台北にはない独特の魅力であふれた基隆の魅力を紹介します。

 
二十世紀初頭に台湾の主要な貿易港として開発が進んだ基隆港は、台湾の海上輸送、漁業、貿易の中心として発展を遂げました。自然が作り出した天然の港は古くから多くの商人たちで賑わい、港の発展と共に発達してきた街は賑やかで男性的な文化を育んでいます。

日本からの観光客は『九份』や『平溪』への足がかりとして、今まで通過してしまうだけだったかもしれません。しかし台北から電車やバスで1時間の好アクセスと、港湾文化を体現した賑やかな町並みは一見の価値があります。奠済宮を中心に栄えた夜市『廟口夜市』は台湾の夜市場では珍しい年中無休24時間営業、基隆独特の名産品も食べることができますので、一度訪ねてみてください。

基隆の観光地図

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基隆の観光ポイント

1.廟口夜市

台湾でも珍しい年中無休24時間営業の夜市場で、その名の通り奠濟宮という廟の、門前市場として発達してきた。奠濟宮は120年ほどの歴史があり、福建省漳州からこの地に渡ってきた人たちが開漳聖王を祭ったのが始まりとされる。最初期は基隆市郊外の外木山に祭られていたが、『板橋林家花園』で有名な林本源一族の寄付などによって現在の地に移された。

現在の荘厳な姿からは想像ができないかもしれないがこの廟は二度に渡って完全に崩壊したことがあり、その度に再建されている。最初は日本統治最初年である1895年、台湾民衆が日本への抵抗のために廟内に保管していた機雷が突如爆発、その衝撃で廟が崩壊した時。二度目は第二次世界大戦による被害のため。戦後、民衆により復興され現在の姿になった。

上:現在の奠濟宮
下:日本統治時代(1989)の奠濟宮

開漳聖王は唐代に実在した陳元光という人のことで、福建省漳州を開き、発展を推し進めたことから民衆に慕われ、死後土地の守護神として祭られた。福建省からの多くの移民が住む台湾では、開漳聖王は漳州出身者の祖籍神として、また台湾の陳姓を持つ人たちの所祭祀として全国に60数箇所祭られている。道教の神の序列では開漳聖王は必ずしも位の高い神ではないが、福建漳州からの移民にとって何者にも比べがたい最高の神様として信仰を集めている。基隆市でもっとも大きな廟に祭られていることからも住民の信仰の深さが伺えるだろう。

廟口夜市に入ればすぐに奠濟宮に至るので、歴史ロマンに思いを馳せながら境内を散策してみるのも良い。また毎年農暦二月十五日は開漳聖王の誕生日とされ盛大な祭り催される。時期が合えば見学してみると良いだろう。

基隆の有名な美食といえば天婦羅、蝦仁羹、泡泡冰など。全てこの市場で食べられる。港という人の出入りの激しい場所の特性上、廟口夜市で食べられる料理の種類は台湾随一とも言われており、ここでは台湾の食文化が一通り全て味わえる。基隆を訪れるなら必ず足を運びたい観光スポットである。


 廟口夜市の地図(基隆市観光案内より)




2.中正公園

基隆港に面した中正公園は憩いの場として基隆市民に広く親しまれている。山頂にある巨大な観音像は高さ20メートルにも及び、港に入る船の目印としても役立っている。木々に囲まれた散策路も整備され健康のために毎日ここを訪れる周辺住民も多い。

旧称を「旭岡公園(旭ヶ丘公園)」といい年配者にはこの言い方でも通じる。園内には忠烈祠、運動場や活水会館(SPA)も整備され、休日には多くの人で賑わう。標高は高くないが山道なので、電車で基隆を訪れた人はタクシーを利用すると便利だ。

観音像は高さ22メートル、港を一望できる高台にある 

頂上付近からの展望は基隆随一で天気の良い日は水平線から基隆港までを一望できる。日本統治時代は台湾と日本をつなぐメイン港として現在以上の賑わいを見せたそうだ。日本向けの石炭や樟脳はほとんどがこの港から出荷され、日本に送られた。また敗戦後の日本人の帰国もこの港から行われた。


園内の忠烈祠は日本統治時代に基隆神社とされていた場所で、建物自体は撤去されているが基礎部分などに当時の面影を見ることができる。付近には台湾統治初期に台南で病死した日本の皇族である北白川宮能久親王の記念碑もある。台湾にあった神社の多くはこの人物を祭神として祀っていたところが多く、旧基隆神社も例外ではない。

往事の基隆神社
 
また 『中元』の祝祭時にはここがメイン会場となり、大変な賑わいを見せる。基隆の中元行事は正式名称を『雞籠中元祭』といい、雞籠とは基隆の古名・別名である。

この雞籠中元祭は全台湾最大の中元祭りで、タイミングが合えば是非観覧して欲しい。毎年異なる姓の一族が主催を勤め、それぞれの姓の一族が総出で準備をし、年々その規模を大きくしながら盛大に祝われる。もともと基隆当地の「張廖簡、吳、劉唐杜、陳胡姚、謝、林、江、鄭、何韓藍、賴、許 」の一族が持ち回りで主催していたが、戦後「李、郭、黃、王、曾、楊、柯蔡、邱丘、蘇周連、鐘蕭葉、白、余徐涂、董童」の一族が集まって連姓会というものが作られ、輪番制に加わって十二周期となった。その後、連姓会の一部が主催に加わったりと紆余曲折を経て、現在では十五周期で輪番制が行われている。2013年は『謝』姓の一族が主催を行う予定である。

 中元とは本来道教の神である地官大帝の誕生日を祝う日で、この日だけ現世に帰還を許された地獄の鬼たちが人としての生活を思い出し、許しを得るための行事である。特に水上交通の要所である基隆では陸上だけでなく水上の魂の安息を願い、海上でもさまざまな行事が行われる。他の地域にはない特色のひとつである。

農暦の七月一日からほぼ一月を掛けて大小様々な催しが行われ、しかもその内容は主催する姓氏に一任されているので毎年内容が異なる。時に古風に、時にモダンに、毎年異なる趣向の祭りが楽しめるのが基隆中元祭の最大の特徴といえるだろう。
 
各一族が毎年趣向を凝らした飾り付けをする主普壇

農暦七月一杯は基隆市内の主要道路に『老大公燈』などと呼ばれる明りが設置され、夜間は常に灯される。これは現世に戻ってくる先祖の魂が道に迷わないようにという意味がこめられており、基隆の夏の風物詩となる。

最大の見せ場は農暦十四日から十五日に掛けてである。農暦十四日の午後から基隆市内中心部では交通管制が敷かれ、外部車両の進入ができなくなる。夜七時からは大小様々な花車と学校や市民サークルの集団が様々な趣向を凝らし、各宗主会の行列と共に市内各所を巡回する。これを『水燈頭繞境』といい、大変賑やかである。この儀式に続き、当日の潮の満ち引きにあわせて『放水燈』と呼ばれる儀式が行われる。

市中を練り歩くド派手な花車、市民や学生のパレードがこれに続く

 水燈頭繞境が終わった後、各一族の水燈頭は海洋大学の入り口に集まり、所定の儀式を行った後、様々な供物と共に火をつけられて海に流される。これは水上で亡くなった魂に道を照らすための明りを提供するためであるといわれており、水燈が遠くに流されれば流されるほど、火の勢いが強ければ強いほどその一族の運勢が強いことを表しているという。



様々な供物と共に海に流される水燈

農暦のしかも潮の干満にあわせて行わるので毎年日時と時間が一定しておらず、観光客を対象とした祭りでもないため、この行事をとことん楽しむためには入念な事前準備が必要だ。しかし基隆最大の賑わいを見せる花車の市中練り歩き、非常に厳粛に行われる放水燈は一見の価値がある。期間中は有名歌手のコンサートなど様々な催しも行われるので、時間が合えば是非訪ねてほしい。




3.紅淡山步道

4海門天險

基隆港の東岸に位置する砲台跡で、別名を『二沙灣砲台』とも言う。天險とは「天然の険しい地形」を意味し、文字通り海と港を見渡せる絶壁の上にある。中正公園からも散策路を通って直接訪れることができるので、ついでに足を運んでみるのも良いだろう。砲台に至る散策路は美しい雑木林が整備されており、南国特有の鳥類や昆虫類も観察することができる。

砲台はアヘン戦争時の1840年に、英国軍の上陸を防ぐために設置されたが、1884年に破壊された。当時の砲台はもちろん残されていない。現在おかれている大砲は40年前に修復されたものである。

 修復された大砲

港の守護のために設置されただけあって、砲台からは港を一望できる絶景が広がる。基隆市内に散在する砲台跡はどれも海を一望できる高台にあり、散策にはもってこいの場所だ。それぞれ少しずつ歴史的意義と守護対象が異なるので、興味のある方は当時に思いを馳せながら訪ねてみよう。

この海門天險には城門も残されており、当時の雄姿を容易に想像することができる。砲台の設置と城門は清朝当時の典型的な城郭設計にしたがって作られており、歴史的意義も高い。中国近代史、台湾近代史の研究上非常に重要な意味を持つ史跡であり、国定史跡にも指定されている。

当時の城門がそのままの形で残されている。

『和平島』の『槓仔寮砲台』や基隆北西部の『大武崙砲台』まで足を延ばせば太平洋を見渡す絶景を楽しめるが、基隆港の美しさを楽しむにはやはり『海門天險』であろう。


5槓子寮砲台

6和平島

7仙洞莊佛手洞

8碧砂漁港

9八斗子公園

10.基隆嶼


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